肌に必要な栄養は血液が運ぶ
バリア機能をもつ角質層を支えている生きた細胞の表皮にまで、外から栄養を入れるなどということは危険なことです。如何に安全な成分で作られている化粧品であっても、生きている細胞の表皮内に入り込んでしまえば、体は異物として捉え、過剰な肌の反応、アレルギー反応などを引き起こすでしょう。
実際に表皮や真皮層に浸透するような化粧品は存在しませんし、それは大変危険なことなのです。
肌にとって本当に必要な栄養は、表皮層の下にある毛細血管を通じて運ばれてきます。この栄養を基に表皮の基底層では日々新しい細胞を作っています。この細胞の中は様々な成分で満たされ、それを利用しながら脂質やタンパク質を作り、バリアである角質層を作り出していきます。必要な材料は代謝活動により作られ、肌に利用されるものなのです。
肌に重要な栄養とは
肌が必要とするものは肌自身の代謝活動によって作られるものですが、材料が必要となります。それが栄養素です。栄養素は食事で口から摂る肉や魚、野菜やお米などで、肌が必要とする栄養素は体にとって必須の栄養素そのものなのです。タンパク質、炭水化物、脂肪の3大栄養素とビタミン、ミネラルなどの微量栄養素に大別されます。タンパク質はアミノ酸に分解され、炭水化物は糖類に、そして脂質は脂肪酸に分解され、体の中で代謝活動により必要なものに再構築されて使われます。これら細胞の代謝活動を支えているのがビタミン・ミネラル類の微量栄養素です。
また、これらの栄養素は一種類ではなく、たくさんの種類に分かれています。したがって、栄養の摂取は偏食ではなく、多種類の食品群のバランスのとれた食事から摂れるのです。
栄養素はいつも体に優先的に使われますので、足りない栄養素があると肌への栄養は後回しにされ、まず肌が被害を受けるようになっています。つまり、栄養素は人間の命の維持に重要な順番に消費されてしまうのです。例えば、タンパク質の場合、内臓と血液、細胞の修復、ホルモン、骨という順番に使われて、余ったタンパク質が肌に使われることになります。
栄養素や微量栄養素の不足にならないように、食生活に気を配ることも大切なスキンケアと言えます。
栄養バランスの良い食事とは
加工食品などが多くなった現代社会では、ビタミン類などの微量栄養素の摂取環境は極端に悪化しています。その一方でストレス社会に生きている現代人の体は微量栄養素を多く必要としているといった現実がありますので、バランスのとれた食事を心がけたいものですね。
参考までに、厚生労働省が勧める6つの基礎食品をご紹介させていただきます。
6つの基礎食品は、栄養成分の類似している食品を6群に分類することにより、バランスのとれた栄養を摂取するために、具体的にどんな食品をどのように組み合わせて食べるかを誰もがわかるようにしたものです。お肌に栄養が届くように、これらを参考に栄養バランスの良い食事を心がけくだだい。
第1群「魚、肉、卵、大豆」
これらは良質たん白質の給源となるものであり 毎日の食事で主菜となるものである。副次的にとれる栄養素としては、脂肪・カルシウム・鉄・ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンB2などがあり、これらの給源としても大きな役割を果す。魚、貝、いか、たこ、かに、かまぼこ、ちくわ、牛肉、豚肉、鳥肉、ハム、ソーセージ、鶏卵、うずら卵、大豆、とうふ、なっとう、生揚げ、がんもどきなど。
第2群「牛乳、乳製品、骨ごと食べられる魚」
牛乳、乳製品は、比較的多種の栄養成分を含むが、とくにカルシウムの給源として重要である。そのほか、良質たん白質、ビタミンB2の給源としての役割も大きい。小魚類は、たん白質、カルシウムを多く含み、また、鉄、ビタミンB2の給源ともなる。牛乳、スキムミルク、チーズ、ヨーグルト、めざし、わかさぎ、しらす干し、わかめ、こんぶ、のりなど海草を含む。
第3群「緑黄色野菜」
この類は主としてカロチンの給源となる野菜であるが ビタミンC及びカルシウム、鉄、ビタミンB2の給源としても大きな役割を占める。なお、この類に分類される野菜は原則として、その100グラム中にカロチンとして600μ以上含有されるものとする。にんじん、ほうれん草、こまつな、かぼちゃなど。
第4群「その他の野菜、果物」
この類は主としてビタミンの給源として重要である。そのほか、カルシウム、ビタミン、ビタミンの給源としての役割も大きく、第3類以外の野菜及び果実類が含まれる。だいこん、はくさい、キャベツ、きゅうり、トマト、みかん、りんご、なし、ぶどう、いちごなど。
第5群「米、パン、めん、いも」
この類は、糖質性エネルギー源となる食品である。この類に分類されるものとしては、大麦や小麦などの穀類とその加工品及び砂糖類、菓子類などがある。なお、いも類は、糖質のほかに、ビタミン、ビタミンなども比較的多く含まれる。飯、パン、うどん、そば、スパゲティ、さつまいも、じゃがいも、さといも、砂糖、菓子など糖質含量の多い食品を含む。
第6群「油脂」
この類は、脂肪性エネルギー源となる食品で、大豆油、米油などの植物油及びマーガリン並びにバター、ラードなどの動物脂及びマヨネーズ、ドレッシングなどの多脂性食品が含まれる。てんぷら油、サラダ油、ラード、バター、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシングなど多脂性食品を含む。