ヒルドイドは保険適用の美容クリームではありません
ヒルドイドとは、皮膚の乾燥やアトピー性皮膚炎などの治療に使われる保湿薬のこと。アレルギーが原因で肌が乾燥する症状を患っている患者さんなどの治療に使われることが多く、保湿や血行促進の作用があるので、アトピー性皮膚炎や火傷、抗がん剤による皮膚の乾燥など様々な治療に欠かせない頻用処方の一つです。
ヒルドイドには、ステロイド外用剤のような免疫過剰を抑える作用はなく、尿素やヒアルロン酸、セラミドなどのような水分を抱き込み維持してくれるスポンジ系保湿剤の仲間です。
以上がヒルドイドの特徴で、アトピーやアレルギーなどが原因で肌の乾燥に悩んでいる患者さんには有効な薬であり、保険適用の美容クリームではありません。
ヒルドイドの美容目的使用はNG
小さい子供からお年寄りまで広く一般的に使われるのがヒルドイドなのですが、処方箋が必要な医療用医薬品にもかかわらず、治療目的ではなく、化粧品代わりに使う女性が増加しているということが問題視されています。
雑誌やインターネットでは「ヒルドイドは究極の美容クリーム」「高級クリームよりもヒルドイド」などと、盛んにヒルドイドの美肌効果の情報が拡散されているようです。
ヒルドイドの問題点
健康保険を使ってヒルドイドを処方してもらい、美容目的に使用することは「違法」です。
ヒルドイドの美容のための処方は公的保険の目的に反するだけでなく、医療費の増大につながると懸念されていて、財政を圧迫してしまうことになりかねません。
処方量の多い「ヒルドイドソフト軟膏」の場合、50g入りで1110円。
医療保険が適用されるので、自己負担は最大でも約330円で済みます。
厚生労働省ではヒルドイドを保険適用外医薬品にすることが検討されたが、今年(2018年)1月、医師や患者団体から「本当に必要な人に使えなくなる。」などの声が出たことを踏まえ、結局、何も規制を設けないことを決めました。
ヒルドイドは保険が適用になる「美容クリーム」ではありません。自己中心的な考えが医療費の無駄遣いに拍車をかけることになってしまいます。