体の冷えが病気の元凶になる理由

「体が冷える」という訴えは、西洋医学では、女性にありがちな体質として右から左に流されがちですが、東洋医学では「体の冷え」を病気の元凶とみなし、重視します。

その理由は、一言でいうと、体が冷えることで血液の流れが悪くなるからです。

そして、冷えるとなぜ血液の流れが悪くなるかというと、自律神経が冷えに反応するからです。

体は、「寒い、冷たい」といった、なにかしらの寒冷刺激を受けると、最初に交感神経が優位になって、手や足などの末梢部の動脈が収縮します。

こうして動脈を収縮させて、血液を胸やお腹などの体幹部に集めて深部体温(内蔵の温度)を維持し、大切な内臓を守ろうとする反応が起きます。

この反応が、結果として全身の血流を悪くしてしまうわけです。

血液の流れが悪くなると内臓の機能が低下し、栄養物の吸収や老廃物の排泄が滞ります。

また、免疫を担う白血球が全身に運ばれなくなって、免疫力が低下します。

冷えると自律神経が乱れる

このようなことが積み重なった結果、体が冷えていると体調を崩し、病気になりやすくなるのです。

また、体が冷えている状態が続くことで交感神経が緊張し、自律神経のバランスもどんどん崩れていくのです。

体の冷えが原因で自律神経のバランスを崩し、日に日に健康状態が悪化し、深刻な状態に陥るケースは決して珍しくありません。

体の冷えは"万病のもと"。

放置すると体調不良を招いてしまいます。

低体温は自律神経のバランスを崩し、血流も滞り、免疫力は低下してしまいます。

起床直後に布団の中で腋下体温を測ってみて、いつも36度を切っている状態なら低体温だと考えてください。

低体温や血流の悪さは爪でチェック

爪が白っぽいと要注意!

低体温の人は、血色が悪く、顔色が優れないのが特徴ですが、これは交感神経の緊張によって白血球の中の顆粒球が増えたために、肌がくすんで顔色が悪くなるからです。

ただし、顔色には睡眠状態や栄養状態などの別の条件も影響するため、顔色だけで低体温かどうかを判断することが難しい場合もあります。

その場合は「爪をチェックする」と一目瞭然です。

爪には細い毛細血管が集まっていて、自律神経のバランスが崩れて血流が悪くなると、爪の先まで赤血球が運ばれなくなります。

低体温で血流が悪い人の爪は、白っぽく明るさに欠けていて、見た目がきれいな爪ではありません。

一方、低体温でない人の爪は、血流がいいので薄い桜色で明るく、見た目はピンク色のマニュキュアを塗ったようなきれいな爪をしていることが多いのです。

総じて爪の色がきれいな人は、深部体温が高めだと思っていいかもしれません。

腋下体温と深部体温

体温を測定するとき、腋下体温と深部体温の2種類の測定法があるのをご存知でしょうか。

腋下体温とは体の表面の温度で、脇の下に体温計を挟んで測る体温です。

深部体温とは内蔵の温度で、肛門に体温計を入れて測る体温です。

腋下体温は外気の影響を直接受けるので多少の変動がありますが、深部体温は外気の影響をそれほど受けません。

つまり、その人の"本当の体温"は深部体温なのです。

ちなみに、深部体温は腋下体温よりも1度ほど高めです。

最近増えている低体温の人は、この深部体温が下った状態だと考えてください。

一般的にいう低体温は、体温を一定に保つ恒温状態のレベルが低下して深部体温が下がり、内蔵に流れる循環血液量が減少したために、内蔵の働きが全般的に低下して、様々な症状が起こりやすい状態です。

起床直後に布団の中で腋下体温を測ってみて、いつも36度を切っている状態なら、一般的にいうところの低体温だと考えてください。

実は、この36度以下の体温は交感神経を働きやすくし、副交換神経を働きにくくする温度なのです。

だから、低体温のままでは自律神経のバランスが崩れて、血流が滞ってしまい、免疫力が低下してしまうのです。