日本人の長寿を支える食材

日本料理が、健康食として国際的に見直されて久しいです。

動物性タンパク質や脂肪の多い欧米の食事に比べ、「和食はまさに治療食に等しい」と絶賛されるほどです。

海外で脚光を浴びている和食の素材の一つが大豆です。

世界一の長寿王国日本を支える秘訣が「大豆食」にあるのではないかと、目下熱い視線が注がれています。

大豆と聞いて、枝豆や納豆ぐらいしか思い浮かばない人でも、豆腐、味噌、醤油の主原料と考え直せば、納得できるのではないでしょうか。

大豆は心臓病のリスクを下げる

アメリカ食品医薬品局(FDA:Food and Drug Ad;ministration)は、大豆タンパクが心臓病の危険を下げる効果があるとして、大豆製品のラベルに効能表示することを承認しています。

「1日あたり25グラムの大豆タンパクを含む低飽和脂肪酸・低コレステロールの食事は、心臓病の危険を低減させることができる」などといった表示が許されているのです。

大豆は、牛乳や肉・卵などと同等の良質タンパク質(すべての必須アミノ酸に富む)を含みますが、コレステロールや飽和脂肪酸(過剰摂取すると血中コレステロールを上げる)は含んでいません。

毎年約80万人が心臓疾患で死亡しているアメリカだけに、大豆製品への関心は高まっています。

豆腐や豆乳はもちろんですが、大豆ソーセージ、菓子類、スポーツ飲料、大豆サプリメントなどが売れ行きを伸ばしています。

大豆タンパクは理想に近い物質ですが、従来アメリカ人は、大豆を家畜のエサとしか考えてこなかったので、まったく食べない人も依然多いようです。

納豆は最強の大豆製品

大豆製品の中でも、とびきり効果を期待できそうなのは納豆でしょう。

微生物が作る納豆のあのネバネバ。

血栓を強力に溶かす「ナットウキナーゼ」という酵素を含んでいます。

納豆100グラムの中には、心筋梗塞や脳梗塞の発作を起こした患者に投与される血栓溶解剤(ウロキナーゼ)1回分と同程度の作用をする物質があるので、まさに医薬品並みの働きです。

納豆を食べるなら夕食時がベスト

納豆は朝食に食べるイメージが強いですが、血栓予防のためには夕食時に食べたほうが効果的です。

その理由は、血栓は就寝中にできやすいからです。

ただし、心臓病などの持病で、抗凝固薬などを処方されている人は、「納豆を食べても大丈夫でしょうか?」と医師に確かめるようにしましょう。

イソフラボンを含む大豆は熟年女性に役立つ食材

大豆効果は、心臓病やガンだけではありません。骨粗鬆症や更年期障害にも有効とする研究も発表されています。

閉経後の日本女性を調べても、大豆に含まれるイソフラボン(ポリフェノールの一種)を多く摂取しているほど、腰椎の骨密度が高いという報告があります。

イソフラボンには、骨を分解する破骨細胞を抑制して、骨量の減少を防ぐエストロゲン(女性ホルモン)の作用を促進する一方、骨を作らせる効果があります。

イソフラボンを含む大豆タンパクは、エストロゲンが急減することで生じる更年期障害ののぼせ症状を40%以上減少させるという結果も出ています。

大豆タンパクは、特に熟年女性のパワーアップに役立つ成分です。