極端な糖質制限ダイエットは危険
糖質制限ダイエットは、1990年代、アメリカ人医師、ロバート・アトキンス氏が超肥満体や糖質中毒の人々、そして糖尿病患者のために考案した食事療法からはじまり、ダイエット法の一つとして広まりました。
食べた炭水化物は消化酵素によって分解され、糖質に変わります。こうして血糖値が上がることによってインスリンが分泌され、グリコーゲンに変換されて人間のエネルギー源となるわけです。また、糖質の摂りすぎや、運動不足で消費されなかった血糖は中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられます。
糖質の摂取を制限すると、インスリンが分泌されませんので、エネルギー源である血糖がなくなります。血糖が枯渇すると、人間の体は貯えられている脂肪を分解し、ケトン体といいう物質を作りだしエネルギー源として使うようになります。結果、体脂肪を減らす効果が期待できるという考え方が糖質制限ダイエットの理論です。
厳格な糖質制限ダイエット方法
厳格な糖質制限ダイエットのやり方ですが、最初の2週間は、炭水化物の摂取量を1日20g以下にする、というのが基本です。
糖質以外では、カフェインやアルコールの摂取も禁止です。糖質を含まない肉や魚を主食とし、野菜に含まれる微量の炭水化物だけを摂ることになります。
炭水化物1日20g以下の食事制限を約2週間実勢した後、炭水化物の量は1日40gを目安に、徐々に増やしていきます。
炭水化物摂取量は1日20g以下に制限
炭水化物の摂取量を1日20g以下にして2週間続け、その後も炭水化物の量は40g!
目安ですが、バナナ1本の炭水化物の量が22g、コンビニの鮭おにぎり1個の炭水化物が41gなのです。厳格な糖質制限ダイエットというのは、やはり糖尿病用の食事療法のようですね。
炭水化物(糖質)は大切な栄養素
炭水化物は人間にとって必要不可欠な3大栄養素のうちの一つです。一般的な成人女性の場合は、1日約100gの炭水化物が必要とされ、そのうちの約70%以上を脳が使うのです。
脳が直接利用できるエネルギー源は糖質だけですから、糖質を制限すれば脳は栄養不足になり、集中力に欠け、ボーッとしてしまうことでしょう。脳がエネルギー欠乏状態になると意識を失うこともありますので注意が必要です。
【糖質制限ダイエットのまとめ】
糖尿病の方が医師の指導の下で糖質制限ダイエットを行うのならともかく、自己流の極端な糖質制限ダイエットはおすすめできません。
加工食品や甘味、うま味、コクなどを出すために調味料に大量に含まれる糖質。それらに加えて、スイーツやスナック菓子などのおやつを少々控えめにする程度の穏やかな糖質制限がベストでしょう。
適応現象について
人間を含めた動物の体は、飢餓状態になったときでも生き残れるようにできています。すなわち、急激な摂取エネルギーの低下を体験することで、食物を摂取した際には、できるだけ多くのエネルギーを蓄えておき、次のダイエット時は体重減少を防ごうとするのです。これが「適応現象」です。
せっかく「死ぬ思い」でダイエットしても、体が反応しなくなっていまうわけです。こういう意味からも、賢いダイエット法とは、栄養バランスを考えた適度な食事と運動の組み合わせを工夫することでしょう。
日ごろから運動することで、エネルギーが消費されるだけでなく、適応現象を生じにくい状態にすることができます。