気持ちいい!が副交感神経を優位にする

テレビ番組であるタレントさんが、「蒸気温熱シートを目に当てると、気持ちがいい」と話したことがきっかけで、市販の蒸気温熱シートが大ヒットしたことがありました。

パソコン作業の多い仕事に就く人たちの間では、蒸気温熱シートが人気になる以前から、蒸しタオルで目を温める方法が、「温活」のひとつとして行われていたようです。

それにしても、目を温めるとなぜ、あんなに気持ちがいいのでしょうか。

目には副交感神経のスイッチがある

同じ顔のパーツでも、おでこや唇、頬を温めてても、あそこまでじんわりとあたたまる気持ちよさを感じることはできません。その理由に、上瞼を上げ下げする筋肉の上眼瞼挙筋があります。この筋肉こそが副交感神経を刺激するスイッチなのです。

そもそも目を酷使すると、この筋肉が疲れて交感神経がたちまち優位になります。目が疲れたときに上眼瞼挙筋を温めると、交感神経が優位な状態から副交感神経が優位な状態へとスイッチが切り替わるのです。

副交感神経は血流をよくする神経ですから、副交感神経にスイッチが入ると目の周辺の血流が一気に改善するだけでなく、全身の血流がよくなるのです。

交感神経の緊張を取ると癒やされる

また、目だけに限らず体を温めると、脳の血流もよくなるのです。そして脳の血流がよくなることで、脳内には幸せを感じるホルモンのβエンドルフィンが増えて、爽快感とともに幸福感が増します。

湯船に浸かったときに思わず出る「あ~っ」という至福のため息も、温まって血流がよくなったことで、βエンドルフィンが増えるからなのです。

つまり、蒸気温熱シートや蒸しタオルも入浴と同じ効果が体感できるので、気持ちがよくなり、病みつきになってしまうわけです。また、「気持ちいい」「心地いい」という感覚を繰り返し体感することは、ストレスの軽減にもなります。

ストレスが減ると交感神経の緊張が取れていき、副交換神経が優位になってリラックスもできます。これが「癒やしの効果」です。

疲れがたまっているときほど、温泉やマッサージに行って癒やされたいと思いますが、もしかすると、「気持ちいい」「心地いい」ことを体感して副交感神経を優位にしようという潜在意識が働いているのかもしれません。

また、特に女性の場合は、心身が癒やされたあとに「強くなれた」と感じることが多いようです。これも癒やされたことで副交感神経が優位になったからこその実感かもしれません。