肌にもビタミン、ミネラルは必要

「肌の栄養」もしくは「皮膚の栄養」には2つの意味があります。1つは食物から摂る栄養で、もう1つはクリームなどを肌に塗って、そのクリームの栄養が肌にゆきわたって肌が若々しくふっくらしてくるというものですが、このページでは美肌を作る食べ物という観点から話をします。

食べて美しい肌を作るというのはいわゆる「美容食」で、昔からありました。クレオパトラはビタミンCの多いルッコラやマグネシウムやカリウムの多いデーツ(ナツメヤシの実)を食べていたといいます。

また、楊貴妃はライチや燕の巣を食べていたそうです。両者ともに真珠を酢に溶かしたものや真珠の粉などを飲んでいます。これはカルシウムとアミノ酸の摂取です。

肌を作るタンパク質は角化が順調に行われるのに必要で、それが不足すると肌表面がカサカサし弾力やハリに影響を与えます。

ミネラル|肌を守る微量元素

ミネラルは血液の浸透圧を一定に保つ上で重要です。これには水酸化ナトリウム(食塩)が大きな役割を果たしています。カリウムが少なくなると肌の水分量が増して浮腫が現れます。

カルシウムが不足すると、体の抵抗が弱くなって神経系が興奮しやすく肌が不安定になります。カルシウムを含む食品には牛乳、卵黄、貝類、ドライフルーツなどがありますが、水溶性でないと利用され難い傾向があります。

カルシウムが体内吸収されるにはビタミンDが必要で、昔であれば積極的に日光浴を勧められていました。現在は光老化などの懸念もあるので肝油、シイタケなどビタミンDを多く含む食品を摂るようにしましょう。

リンの多い食物を摂るとカルシウムが尿中に排泄され易くなります。

そのほかに鉄は造血作用があり、ケイ素は肌の弾力のために必要であるといわれています。

肌状態を左右するビタミン

ビタミン欠乏はまず肌に現れるといい、皮膚の健康にはビタミンは非常に大切です。ビタミンには大きく油に溶ける油溶性ビタミンと水に溶ける水溶性ビタミンとがあります。

油溶性ビタミンとしてはビタミンA、D、E、Kがあります。油溶性ビタミンは体の脂肪に蓄えられるので過敏症になる場合もあります。

ビタミンA

ビタミンAは体内では肝臓に蓄えられており、肝油はそれを油に溶けたまま取り出したものです。レバー、ウナギ、バターなどに多く含まれています。

ビタミンAが欠乏すると皮膚では汗腺や皮脂腺の機能が減少し角化が不完全となるため乾燥肌になり、角質が厚くなって、ひどい場合は毛孔が硬いトゲのようになることもあるそうです。皮膚の抵抗力が弱まるため細菌感染症を起こしやすくなります。爪や毛がもろくなって折れたり裂けやすくなります。

ビタミンD

ビタミンDも油溶性ビタミンです。トコフェロールとよばれるビタミンEも油溶性で、欠乏すると貧血、動脈硬化、冷え性、肩こり、肌のシミなどを起こします。

ビタミンE

ビタミンEは皮膚の小動脈を広げ、血液循環を良くします。そのため、しもやけや寒さで手足の指がしびれて冷たくなる冷え性の予防に使われています。また、ビタミンEは抗酸化剤として働きます。

ビタミンK

ビタミンKは血液凝固剤(止血)に関係し、これが不足すると出血が止まらなくなります。K1は豆類など主に植物に含まれ、K2は腸内細菌によっても供給されるので、成人ではビタミンK不足になることはありませんが、新生児ではメレナという出血症になることがあります。

ビタミンB

水溶性のビタミンBは、その欠乏によって脚気が起こることで注目されました。しかし、ビタミンBは単一なものではないことが分かり、B1、B2、B6などが知られています。

ビタミンB1不足が脚気の原因ですが、美容上の働きは余りありません。他の美容に感の深いビタミンB群の働きを助けます。ビタミンB2は美容ビタミンといわれるほど美容と関係が深く、皮膚の新陳代謝を盛んにし、皮膚をイキイキとさせます。

ビタミンB2が不足すると口内炎になったり、下が赤く腫れたり、眼が赤く充血してきます。毛細血管が広がり易くなるため、赤鼻になったりします。

ビタミンB3はニコチン酸アミド(ナイアシン)でこれが不足すると日光過敏になり、ペラグラという皮膚病になります。

ビタミンB5はパントテン酸で疲れやすい時にこれを使うと副腎皮脂の働きが良くなるそうです。

ビタミンB6欠乏は脂漏性皮膚炎、口角炎などです。アレルギーに良いともいわれています。

ビタミンHはビオチンとも呼ばれ、ビタミンB群に分類される水溶性ビタミンの一種で、ビタミンB7とも呼ばれますが、アトピー性皮膚炎の補助治療としても使われています。

ビタミンC

アスコルビン酸ともいわれるビタミンCの不足は血管壁を弱くして出血しやすくなり壊血病を引き起こします。コロンブスがアメリカ大陸を発見した時、長い船旅のため新鮮な野菜や果物がなくこの病気に悩まされたことは有名です。美容では皮膚の色を白くするのに使われています。日焼けの後の肌荒れをおさえ、メラニンの増加を抑えます。