腸が喜ぶ種類の食物繊維を摂りましょう
「便秘を解消してスムーズなお通じを実現するのに必要なのは、食物繊維」というのは常識となっていると思います。
ただし、食物繊維にも種類があることは、ご存知ですか?
食物繊維を豊富に含む食材はいろいろありますが、せっかく摂るのですから腸が喜ぶ食物繊維を摂りましょう。
一日に必要な食物繊維の量はレタス20玉分
ポイントは、「ひどい便秘のときと快便が続いているときとでは、食物繊維の種類や量を変える」ということです。
さて、便の形を作り、便のもとになるのが食物繊維です。
しかも、食物繊維は腸の蠕動運動を促すとともに善玉菌を増やし、血糖値や血中コレステロールの上昇を抑えて、あらゆる生活習慣病の予防にも役立ちます。
ところが、現代の日本では、食生活の欧米化が進み、食物繊維を十分量摂れていない人が増えています。
平均すると、50代までの男女で1日15g以下。日本人の食物繊維の摂取量の目安は、成人男性で1日19g以上,女性17g以上とされていますから、ほとんどの世代で足りていません。
あなたは、十分に摂れているでしょうか?
生野菜の場合、トマトなら中サイズの大きさで20~25個、レタスなら20玉くらいが必要となります。
生野菜で食べるより、ゆでたり煮物にしたりしたほうが、食物繊維を多く摂れやすくなります。不足しがちな人は、意識して摂るようにしましょう。
2種類の食物繊維のバランスが大切です
さらに大事なのはここからです。「第6の栄養素」と呼ばれる食物繊維には、2種類あります。
便をやわらかくする「水溶性食物繊維」と、便の”かさ”を増して排便をサポートする「不溶性食物繊維」です。
この2種類の食物繊維のバランスが重要なのです。
水溶性食物繊維を多く含む食材には、果物、こんにゃく、海藻類、きのこ類、にんじん、オクラや納豆などのネバネバ食材などがあげられます。
一方で、不溶性食物繊維を多く含む食材には、根菜類、イモ類、豆類、玄米、きのこ類、カニやエビなどの甲殻類などがあげられます。
水溶性食物繊維の特性
- 水に溶け、ゲル状になり、便をやわらかくする
- 善玉菌のエサになって種類や数を増やす
- 糖分や脂肪の吸収を抑えて、血糖値の上昇やコレステロールの増加を抑える
- 大腸ガンを予防する
水溶性食物繊維の種類
- ペクチン・・・果物などに多く含まれる
- グルコマンナン・・・こんにゃくなどに多く含まれる
- アルギン酸・・・海藻類のぬめり成分
- フコイダン・・・海藻類のぬめり成分
不溶性食物繊維の特性
- 便の”かさ”を増して腸の蠕動運動を活発にする
- 発がん性物質など腸内の有害物質の排出を促進する
- 咀嚼を増やし、胃の中に長時間滞留して、満腹感を与える
不溶性食物繊維の種類
- セルロース・・・りんご、大豆、ごぼう、穀類などに含まれる
- ヘミセルロース・・・ごぼう、小麦ふすま、玄米、大豆などに含まれる
- 不溶性ペクチン・・・未熟な果実、野菜などに含まれる。熟成するにつれて水溶性に変わる
- リグニン・・・ココア、豆類、いちご、なしなどに含まれる
- キチン・キトサン・・・エビ、カニなどの甲殻類、きのこ類などに含まれる
食物繊維の種類を間違えると逆効果
便秘や下痢が続いているときに、消化しにくい不溶性食物繊維を摂り過ぎると、逆効果になることがあります。
玄米、根菜、葉野菜は、一見便秘解消に効果がありそうですが、不溶性食物繊維が多く含まれており、そうした食材ばかり摂り過ぎると便が硬くなり、さらなる便秘を招くことがあります。
硬いコロコロ便しか出ないタイプやガスが溜まってお腹が張るタイプの便秘では、水溶性食物繊維を多く含む食材を摂るようにし、硬くなった便をやわらかくすることを優先しましょう。
おすすめの食べ物は、りんごやバナナ、キウイフルーツなどの果物です。熟した果物には、ペクチンと呼ばれる水溶性食物繊維が豊富に含まれています。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の割合を調整できるようになれば、腸活上級者です。
白米に大麦をプラスすると食物繊維のバランスがよくなる
水溶性と不溶性、両方の食物繊維を豊富に含む食材としては、納豆、ごぼう、オクラ、それにドライフルーツ。プルーンやマンゴーなどのドライフルーツは、おやつの代わりにもなり、腸活の強い味方になります。
穀類では、大麦が優秀な食材です。
玄米100%のごはんよりも、白米に大麦を混ぜた麦ごはんのほうが、食物繊維のバランスがよくなります。
大麦に含まれるβ-グルカンは、排便効果、コレステロール値低下、内臓脂肪減少、食後血糖値上昇の抑制など、大人世代にうれしい効果が得られるということで、注目されています。
ごはんよりパンが好きという人は、大麦入りのパンやグラノーラなどもありますので、試してみてください。